コクリバ 【完】
兄のバスケットシューズをブラブラさせながら、私服のまま高校に向かう。
家を出た時にはのんびり歩いていたけど、学校に近づくにつれ足が速くなる。
高木先輩に会えるという予感がする。
先輩の姿が見られるだけでいい。
もうそれ以上は何も望まないから。
学校に着くとやっぱり体育館の周りは女子で溢れていて、
こんな状況では絶対に中を見ることはできないだろうと肩を落としながら、研修棟の方へ向かった。
携帯を取り出し兄に電話を掛けようとすると、目の前に人影が。
期待から異常にドキリと反応し、顔を上げた私の前にいたのは高木先輩ではなく吉岡だった。
「おはよう」
吉岡は未だに口をきいてくれないけど無視して通り過ぎる訳にもいかず、小さく声を出した。
「……」
やっぱり吉岡は挨拶も返してくれない。
俯きながら横を通り過ぎようとすると、そっちに吉岡も移動した。
たまたま避けようとした方向が同じだったんだと反対側に移動すると、吉岡もそうする。
わざとやられてるような気がして顔をあげたら、吉岡はしっかり私を見ていて、目があってしまった。
家を出た時にはのんびり歩いていたけど、学校に近づくにつれ足が速くなる。
高木先輩に会えるという予感がする。
先輩の姿が見られるだけでいい。
もうそれ以上は何も望まないから。
学校に着くとやっぱり体育館の周りは女子で溢れていて、
こんな状況では絶対に中を見ることはできないだろうと肩を落としながら、研修棟の方へ向かった。
携帯を取り出し兄に電話を掛けようとすると、目の前に人影が。
期待から異常にドキリと反応し、顔を上げた私の前にいたのは高木先輩ではなく吉岡だった。
「おはよう」
吉岡は未だに口をきいてくれないけど無視して通り過ぎる訳にもいかず、小さく声を出した。
「……」
やっぱり吉岡は挨拶も返してくれない。
俯きながら横を通り過ぎようとすると、そっちに吉岡も移動した。
たまたま避けようとした方向が同じだったんだと反対側に移動すると、吉岡もそうする。
わざとやられてるような気がして顔をあげたら、吉岡はしっかり私を見ていて、目があってしまった。