コクリバ 【完】
冬休みがあけて学校も行きたくはなかったけど、家にいても息が詰まりそうで仕方なく登校した。

あのOB会の事件が噂になっていたらもう休もうと思っていたけど、幸いあの件は誰にも知られてないようだった。

吉岡は、教室で謝ってくれた。
「どうかしてたんだ」とか言っていたけど、正直もうどうでもいい。

絢香とともちゃんは何があったか知っていたようで
「……」
何かを言いたそうだったけど、私は二人を避けた。

誰とも話さず、目も合わさず、一人で登校して時間を過ごし、一人で下校した。

そして真っ直ぐに家に帰った。

どこかに寄ろうかと思ったけど、遊歩道に座っていても、ファストフード店に入っても、あの人のことを思い出すから、学校が終わるとさっさと自分の部屋に戻った。


失恋が、こんなにつらいモノとは思わなかった。

よく聞いていた失恋ソングなんか聞きたくない。
幸せそうな人たちで溢れているテレビも見たくない。

本だけが救いだった。
何も考えないでいいように、本の世界に没頭した。

あとは時間に解決してもらうしかないって分かってる。


何をやってもあの人を思い出し、
何を見てもすぐにあの人に結びつける。


その度に胸が痛むから
ハートのストラップは外した。
< 249 / 571 >

この作品をシェア

pagetop