コクリバ 【完】
体育館には卒業生の父兄や在校生がぎっしりと座っていて、涙を誘うような厳かな曲が流れる中、3年生が入場してくる。
その時までは、何も感じないように努力出来ていた。
だけど、卒業生が着席し、あちらこちらからすすり泣く声が聞こえてきて、もし私がまだあの人の彼女だったら、号泣していたかもしれない、そう思った途端3年生の方を見ていた。
「卒業証書授与!」
そんな合図とともに一人一人の名前が読み上げられ、立ち上がり、代表者が壇上に卒業証書を取りに上がる。
「3年4組、市原悟」
「はい」
一際大きくなる泣き声。
ついに3年4組の番だ。
関係ないのに、私までドキドキが大きくなる。
順調に名前が読み上げられ、次々と3年4組の生徒が立っていく。
そして……
「高木誠也」
「はい」
低い痺れるような声がした後、高木先輩が立ち上がった。
見覚えのある後頭部と、いつか私が額をつけた背中がそこにあった。
先輩はしっかりと前を向いていた。
後ろに私がいることなんて、全く知らないかのように……
次々に名前が読み上げられその人たちが立ち上がっていくと、そのうちどれが先輩の後頭部か分からなくなる。
「代表、市原悟」
市原先輩が壇上に卒業証書を取りに行く。
先輩たちは礼をして全員着席した。
もう見えない。
その時までは、何も感じないように努力出来ていた。
だけど、卒業生が着席し、あちらこちらからすすり泣く声が聞こえてきて、もし私がまだあの人の彼女だったら、号泣していたかもしれない、そう思った途端3年生の方を見ていた。
「卒業証書授与!」
そんな合図とともに一人一人の名前が読み上げられ、立ち上がり、代表者が壇上に卒業証書を取りに上がる。
「3年4組、市原悟」
「はい」
一際大きくなる泣き声。
ついに3年4組の番だ。
関係ないのに、私までドキドキが大きくなる。
順調に名前が読み上げられ、次々と3年4組の生徒が立っていく。
そして……
「高木誠也」
「はい」
低い痺れるような声がした後、高木先輩が立ち上がった。
見覚えのある後頭部と、いつか私が額をつけた背中がそこにあった。
先輩はしっかりと前を向いていた。
後ろに私がいることなんて、全く知らないかのように……
次々に名前が読み上げられその人たちが立ち上がっていくと、そのうちどれが先輩の後頭部か分からなくなる。
「代表、市原悟」
市原先輩が壇上に卒業証書を取りに行く。
先輩たちは礼をして全員着席した。
もう見えない。