コクリバ 【完】
卒業式の片付けが終わると、私は早々に教室に戻った。
校庭や渡り廊下は卒業生や卒業生に花束を渡す人や記念撮影する人たちでいっぱいだったけど
「いいの?」
絢香が遠慮がちに聞いてきたけど、私は微笑んで頷いた。
何も言うことはない。
先輩だって、私から何も言われたくはないだろう。
卒業生で溢れる校庭なんか見たくないから、本を広げてその世界に入り込もうと思っていた。
「緒方。ちょっと来い」
あれ以来、微妙な距離感があった吉岡が教室に戻ってきていた。
「何?」
吉岡に連れて行かれたのは、3階の渡り廊下。
通り過ぎるのは同じ学年の人たちがほとんどの場所。
「携帯、出せよ」
「なんで?」
「高木さんの番号聞いてきた」
ドキリとした。
携帯を掴んだ手がポケットの中で固まっている。
そのまま吉岡を見ると、吉岡は自分の携帯を面倒そうに操作している。
校庭や渡り廊下は卒業生や卒業生に花束を渡す人や記念撮影する人たちでいっぱいだったけど
「いいの?」
絢香が遠慮がちに聞いてきたけど、私は微笑んで頷いた。
何も言うことはない。
先輩だって、私から何も言われたくはないだろう。
卒業生で溢れる校庭なんか見たくないから、本を広げてその世界に入り込もうと思っていた。
「緒方。ちょっと来い」
あれ以来、微妙な距離感があった吉岡が教室に戻ってきていた。
「何?」
吉岡に連れて行かれたのは、3階の渡り廊下。
通り過ぎるのは同じ学年の人たちがほとんどの場所。
「携帯、出せよ」
「なんで?」
「高木さんの番号聞いてきた」
ドキリとした。
携帯を掴んだ手がポケットの中で固まっている。
そのまま吉岡を見ると、吉岡は自分の携帯を面倒そうに操作している。