コクリバ 【完】
―――ここからだと見えない

私は急いで渡り廊下から教室棟へ戻った。


教室前の廊下から外を見ると、学校を取り囲むように続いている道を集団が歩いている。
高木先輩もその中にいて笑っていた。
背の高い先輩が、足を引きづるように歩く先輩が、他の人たちとふざけながら帰っていく先輩が、よく見えた。
その後ろ姿に自然と唇が動く。



それが、私が最後に見た高木誠也の姿。



たくさん泣いたけど、たくさん幸せも感じた
そんな激しい一年が、終わりを告げた日。






「先輩、卒業おめでとうございます―――」





前編・完
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