コクリバ 【完】
真理子先生とバス停で別れ、バスに乗り10分、駅前で降りて、更に5分歩くと自宅アパートに到着する。

高校を卒業すると同時に、短大に通いやすいこの学生向けアパートで一人暮らしを始めた。
何もかも自分ですることと、一人ぼっちの不安に始めの頃は泣いてしまったけど、今となっては良かったと思う。
自分がどれだけ家族に、特に母に甘えていたかがよく分かった。
仕事を始めてからは、もっとよく分かる。
生きて行くのは思ったより大変だ。
お金のことや、掃除洗濯、ゴミ出しや、健康管理……
全く予想していなかったことが、実は大変だと思った。

でも、一人暮らしは自分が望んだこと。

強くなったと思う。

いつか来るその日のために、強くならなきゃ……そういう思いで辛くても耐えている。

ん?
いつか来る日―――なにがだろう?

漠然といつかそんな強さが求められる日が来るような気がしてしょうがない。
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