コクリバ 【完】
「はい、お待たせ」
ふんわりと珈琲の良い香りを漂わせ、ブレンド珈琲が目の前に置かれた。
熱すぎずの美味しい珈琲を一口飲んだら、身体の中からじんわりと柔らかい物が広がっていく。
まるで「それでいいんだよ」と優しく言われているようで、泣きそうになる。
しばらく一人で珈琲を堪能していた。
そんな静寂を破って、携帯のマナー音が聞こえてきた。
マスターと目が合うと、「いいよ」と口元が動いたから、その場で携帯を取り出し、画面をタッチした。
「もしもし、ともちゃん?」
『奈々ちゃん、久しぶり~』
変わらない友達の声に、自然に笑顔になる。
『手紙、見た?』
「手紙?ううん。まだ帰ってない」
もうすぐ大学4年生になるともちゃんは、あれからどんどん綺麗になって、今では一緒に歩いてたら必ず振り返られるくらいに目立つ美人になっている。
『ビックリするよ!絢香の結婚式の招待状が届いてたの!』
「え――!?」
落ち着いた店内に不釣り合いな私の大声。
慌てて口を押える。
『あはは…びっくりした?』
「したした。なんでそんな急に?」
『今、電話したけど繋がらなかった。仕事中かな?』
絢香の仕事は歯科衛生士。
歯科医院勤務も大変らしい。
「もしかして……」
『うん。私もそう思った』
「仕事始めたばっかりだから、結婚はまだいいって言ってたのにね」
『それでね。奈々ちゃんと私に友人代表のスピーチをお願いします、ってメモが入ってたの』
「えー!」
『久しぶりにみんなに会えるね』
「高校の同窓会みたいになりそうだね」
相手が誰か聞かなくても分かる。
絢香とオサムッチは、ケンカしたり別れたりしながら結局ずっと続いている。
そっか、ついに絢香はと結婚するのか……
ふんわりと珈琲の良い香りを漂わせ、ブレンド珈琲が目の前に置かれた。
熱すぎずの美味しい珈琲を一口飲んだら、身体の中からじんわりと柔らかい物が広がっていく。
まるで「それでいいんだよ」と優しく言われているようで、泣きそうになる。
しばらく一人で珈琲を堪能していた。
そんな静寂を破って、携帯のマナー音が聞こえてきた。
マスターと目が合うと、「いいよ」と口元が動いたから、その場で携帯を取り出し、画面をタッチした。
「もしもし、ともちゃん?」
『奈々ちゃん、久しぶり~』
変わらない友達の声に、自然に笑顔になる。
『手紙、見た?』
「手紙?ううん。まだ帰ってない」
もうすぐ大学4年生になるともちゃんは、あれからどんどん綺麗になって、今では一緒に歩いてたら必ず振り返られるくらいに目立つ美人になっている。
『ビックリするよ!絢香の結婚式の招待状が届いてたの!』
「え――!?」
落ち着いた店内に不釣り合いな私の大声。
慌てて口を押える。
『あはは…びっくりした?』
「したした。なんでそんな急に?」
『今、電話したけど繋がらなかった。仕事中かな?』
絢香の仕事は歯科衛生士。
歯科医院勤務も大変らしい。
「もしかして……」
『うん。私もそう思った』
「仕事始めたばっかりだから、結婚はまだいいって言ってたのにね」
『それでね。奈々ちゃんと私に友人代表のスピーチをお願いします、ってメモが入ってたの』
「えー!」
『久しぶりにみんなに会えるね』
「高校の同窓会みたいになりそうだね」
相手が誰か聞かなくても分かる。
絢香とオサムッチは、ケンカしたり別れたりしながら結局ずっと続いている。
そっか、ついに絢香はと結婚するのか……