コクリバ 【完】
「無理にクラスをまとめようとすると、だいたい失敗しますね。まずは子供たちを信じて自由にやらせることですよ」

目からウロコ

始まる前から一人で緊張していたけど、洋祐先生のその言葉で身体が軽くなった。

「そうですね。ありがとうございます」
「まぁ、私も幼稚園児は教えたことがないので、未知の世界ですが……」
「ふふ…洋祐先生なら大丈夫ですよ。もう子供たちに大人気じゃないですか」

洋祐先生の登場は最初の一瞬こそ子供たちもポカンとしていたけど、すぐに受け入れ、今では洋祐先生の首や腕にまとわりつく子供たちが後を絶たない。

「よーすけー、これどーすんの?」
「ようすけせんせいだろ?」
「せんせい。きゃー」

子供たちとじゃれている洋祐先生は、本当に楽しそうで、子供が好きなんだろうな。

「奈々先生はそうやって笑っていればいいんですよ」

子供たちにイチゴを取ってあげながら、洋祐先生が優しい笑顔でそう言うから、頬が熱くなってしまった。


明日から私ももう少し念入りにメイクをしてくるかも
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