コクリバ 【完】
ついに新学期が始まった。
ヒマワリ組はそれはもう大変な有様で……

「ママー!!」
「大丈夫だよ。ママが迎えに来るまで先生と待ってようね」

「せんせい、私のコップがないの」
「ちょっと待ってて、後で一緒に探そうね」

「かえるー」
「お弁当食べてから帰ろっか」

「せんせい、あの子おもらししてるよ」
「あらら……」

年少からいた子と、今年新しく入ってきた子、更にはもうすぐ5歳になる子と、4歳になったばかりの子。

活発な子、おとなしい子、走り回る子、泣いてばかりの子……年中の子供たちは本当に様々で、まとめようなんて絶対無理なような気がしてきた。


子供たちが帰ったあと、嵐がさったような教室で一人お茶を飲んでいると、
「ふぅ~」
大きなため息が出た。

「お疲れ様」
「真理子先生~」

ジャストタイミングで教室の入り口から真理子先生が顔を出すから、今のため息は聞かれてたと思う。

「大丈夫?」
「疲れました~」

真理子先生が笑いながら教室に入って来る。

「あはは……私も」
「年中さんってほんとバラバラですね」
「そうだね。年少さんはそうでもないけど、年中さんは個性が出てくるね」
「年長さんはもう少しまとまってますよね」
「うん。一番大変な学年かもね」
「うわー」

真理子先生と笑い合った。
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