コクリバ 【完】
数日後の週末、
ともちゃんと披露宴でのスピーチの打ち合わせのために、待ち合わせしている喫茶店に入ると、

「奈々。おっそーい」
「……なんで、いるの?」
「偶然よ」

私よりも先に、絢香が来ていた。

「奈々ちゃん。お疲れ様。絢香がどうしても来るって言いだして……」
「ううん。いいけど……」
「ほら、奈々はいいって言った」
「でも本人がいたら打ち合わせできないじゃん」
「耳ふさいでるから!」

会うなりギャーギャー騒ぎ出してしまうこの感じが、今は懐かしい。

「ねぇ、絢香。なんでいきなり結婚することにしたの?」
「うん……ベビーちゃんが……」

俯き照れてる絢香に

「キャー!」
「まじ?」

つい大きな声が出てしまう。

「もう二人ともうるさいよ」

絢香が恥ずかしそうにジュースに口をつけた。
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