コクリバ 【完】
「いつからマッチョ好きになったんだよ」
「この前の合コンから……」
「おまえまだそんなんしてんのか?」
「たぶん、また誘われそう」
吉岡が優しく微笑む。
悔しいけどこの笑顔は友達になっても、同志になっても、やっぱり素敵だと思う。
「相手は?」
「え?」
「マッチョ好きの相手チームはどこだった?」
「……自衛隊……」
「ふーん」
吉岡の前で素直にその単語を口にすることができない。
「……」
「……」
ほらね、一瞬で空気が重たくなる。
「高木さん、時々帰って来てるぞ」
「……そう」
やっぱりあの単語は言わなきゃ良かったと反省した。
「盆には必ず帰ってくるそうだ」
「……なんで知ってるの?」
「光から……」
「弟さん?」
「そう」
「まだ仲良いんだね」
吉岡はあの人の弟の高木光君と何故か仲が良い。
「おまえも盆には帰ってくるんだろ?」
「帰るけど、もう関係ないよ」
「会いたくないのか?」
「……あの人は私のことなんて忘れてるよ」
「忘れてなかったら?」
「吉岡、5年も前の話だよ。もうあの時みたいに辛いのはイヤなの。あんな思いはもう二度としたくない。私も、もう忘れたから……」
カクテルの氷がぶつかり合う音が、やけに寂しく聞こえる。
「そうだな……」
「……」
「……」
「……」
何も言葉が浮かばない。
「じゃ、マッチョ好きな緒方のために、合コンセッティングしてやろうか?」
「吉岡が?」
「おう。何部にする?相撲部か?」
「すもう?それさ、マッチョって言うの?」
「じゃ空手か?」
「何?格闘系で?」
「うちの大学ボディビル部ってないぞ」
「いやいや。マジで遠慮する」
この日は遅くまで楽しんだ。
途中ともちゃんが泣いてた。
「泣き上戸なの」って言ってたけど、美人は泣いても美しい。
私も久しぶりに高校時代に戻ったみたいで、何も気にせずに騒ぎ倒した。
「この前の合コンから……」
「おまえまだそんなんしてんのか?」
「たぶん、また誘われそう」
吉岡が優しく微笑む。
悔しいけどこの笑顔は友達になっても、同志になっても、やっぱり素敵だと思う。
「相手は?」
「え?」
「マッチョ好きの相手チームはどこだった?」
「……自衛隊……」
「ふーん」
吉岡の前で素直にその単語を口にすることができない。
「……」
「……」
ほらね、一瞬で空気が重たくなる。
「高木さん、時々帰って来てるぞ」
「……そう」
やっぱりあの単語は言わなきゃ良かったと反省した。
「盆には必ず帰ってくるそうだ」
「……なんで知ってるの?」
「光から……」
「弟さん?」
「そう」
「まだ仲良いんだね」
吉岡はあの人の弟の高木光君と何故か仲が良い。
「おまえも盆には帰ってくるんだろ?」
「帰るけど、もう関係ないよ」
「会いたくないのか?」
「……あの人は私のことなんて忘れてるよ」
「忘れてなかったら?」
「吉岡、5年も前の話だよ。もうあの時みたいに辛いのはイヤなの。あんな思いはもう二度としたくない。私も、もう忘れたから……」
カクテルの氷がぶつかり合う音が、やけに寂しく聞こえる。
「そうだな……」
「……」
「……」
「……」
何も言葉が浮かばない。
「じゃ、マッチョ好きな緒方のために、合コンセッティングしてやろうか?」
「吉岡が?」
「おう。何部にする?相撲部か?」
「すもう?それさ、マッチョって言うの?」
「じゃ空手か?」
「何?格闘系で?」
「うちの大学ボディビル部ってないぞ」
「いやいや。マジで遠慮する」
この日は遅くまで楽しんだ。
途中ともちゃんが泣いてた。
「泣き上戸なの」って言ってたけど、美人は泣いても美しい。
私も久しぶりに高校時代に戻ったみたいで、何も気にせずに騒ぎ倒した。