コクリバ 【完】
それが合コンのことだと分かるのに少し時間がかかった。

普段穏やかな園長先生の口から発せられたその言葉は、違う種類のものに聞こえる。

「どうなんですか?」

園長先生の問い詰めるような口調で、合コンがひどく卑猥なものに思えてくる。

「……すみませんでした」

いきなり真理子先生が頭を下げた。

一瞬遅れたけど私も「すみませんでした」と深く頭を下げた。

「では、本当なんですね?」
「……はい」
「申し訳ありません」
「別に先生方のプライベートまで束縛するつもりはありません。ただ毎週のように男性との出会いを求めて飲み歩くのは、いかがなものかと思いますよ」

園長先生が疲れたような言い方をされたので、胸が痛んだ。

「毎週ではありません。でも……」
「他の幼稚園の父兄から連絡があったそうです。そこの先生とご一緒だったんでしょ?」

横から洋祐先生の冷たい言葉が入ってきた。

真理子先生の方を見て、洋祐先生が口を開く。

「大橋先生でしたか?真理子先生のお知り合いですよね?」

洋祐先生の口から出てきたのは、真理子先生の戦友の名前。

それだけでこの状況が把握できた。

大橋先生を慕っている園児の保護者が、ストーカーまがいのことをして困っていると以前聞いたことがある。

おそらく、それだ。
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