コクリバ 【完】
しばらく私も真理子先生も俯いて、園長先生のお叱りを受けた。
でも一番辛いのは「私は悲しいです」と園長先生を苦しめたこと。
それだけで、猛烈に後悔した。
ただ、これまで何かと助けてくれた友紀奈先生は、この時一言も言葉を出さなかった。
なぜかそれが見捨てられたような気がした。
更には、少しずつ信頼を重ねていた洋祐先生が、幼稚園の体裁のことしか考えていないという感じだったから、自分の立場も忘れて洋祐先生を心の中で批判していた。
最後に深く頭を下げて、真理子先生と園長室を出た。
そのまま無言でロッカールームに行って帰る支度をして、幼稚園から出ても、二人とも何も話さなかった。
私が乗るバス停が見えたところで、真理子先生が小さく謝った。
「ごめんね、奈々……」
「真理子さんが謝ることないですよ」
「でも巻き添えに……」
「私が連れてってもらったんです。でも一番大変なのは大橋先生なんじゃないですか?」
「うん……」
「前に話してたストーカーですよね?」
「たぶん……あとで電話してみようと思う」
「……はい」
「あー。これでしばらくは合コンできないね」
盛大なため息を漏らした真理子先生は、落ち込んでいるのかと思ってたけど、そうでもなさそうで
「奈々……」
「はい」
「しばらく合コンはお預けね。個人プレーで頑張ろう」
真理子先生の口元が少し上がった。
「……はい」
でも一番気にしてるのは真理子先生だと思う。
こんな状況でも明るく盛り上げる真理子先生はすごい。
私にはとても真似できない。
「はぁー。これから絶対失敗できないよ」
「そうですね」
「日報の出し忘れとかも、絶対ないようにしよう!」
「それ、昨日の真理子先生でしょ!」
この失敗を取り戻すために、明日からはいつも以上に頑張ろうと決意した。
それからの数日、苦手な事務作業も早め早めに終わらせて、汚名返上に励んだ。
けど、世間はそんなに甘くはなかった。
でも一番辛いのは「私は悲しいです」と園長先生を苦しめたこと。
それだけで、猛烈に後悔した。
ただ、これまで何かと助けてくれた友紀奈先生は、この時一言も言葉を出さなかった。
なぜかそれが見捨てられたような気がした。
更には、少しずつ信頼を重ねていた洋祐先生が、幼稚園の体裁のことしか考えていないという感じだったから、自分の立場も忘れて洋祐先生を心の中で批判していた。
最後に深く頭を下げて、真理子先生と園長室を出た。
そのまま無言でロッカールームに行って帰る支度をして、幼稚園から出ても、二人とも何も話さなかった。
私が乗るバス停が見えたところで、真理子先生が小さく謝った。
「ごめんね、奈々……」
「真理子さんが謝ることないですよ」
「でも巻き添えに……」
「私が連れてってもらったんです。でも一番大変なのは大橋先生なんじゃないですか?」
「うん……」
「前に話してたストーカーですよね?」
「たぶん……あとで電話してみようと思う」
「……はい」
「あー。これでしばらくは合コンできないね」
盛大なため息を漏らした真理子先生は、落ち込んでいるのかと思ってたけど、そうでもなさそうで
「奈々……」
「はい」
「しばらく合コンはお預けね。個人プレーで頑張ろう」
真理子先生の口元が少し上がった。
「……はい」
でも一番気にしてるのは真理子先生だと思う。
こんな状況でも明るく盛り上げる真理子先生はすごい。
私にはとても真似できない。
「はぁー。これから絶対失敗できないよ」
「そうですね」
「日報の出し忘れとかも、絶対ないようにしよう!」
「それ、昨日の真理子先生でしょ!」
この失敗を取り戻すために、明日からはいつも以上に頑張ろうと決意した。
それからの数日、苦手な事務作業も早め早めに終わらせて、汚名返上に励んだ。
けど、世間はそんなに甘くはなかった。