コクリバ 【完】
「どういうこと?」

絢香とともちゃんと3人で、体育館から離れて教室まで戻ってきた。
二人は私が話し出すのをじっと待っている。
そりゃそうだよね。
あの高木先輩が私に話しかけるんだもん。
やっぱりあり得ないって思うよね。

「この前……」
自分でもあり得ないって思うよ。

「コクリバで…高木先輩に会って……」
「奈々ちゃん。コクリバに高木先輩呼び出したの?」
ともちゃんが、目を真ん丸にしてる。

「とも。違うよ。奈々は呼び出されたの。
 そうでしょ?あの日でしょ?」
絢香はすぐに吉岡に呼び出され日のことだと気が付いたらしい。

「そう。そのあとすぐに高木先輩が来たの」

「で?」
「で?」
二人の顔がぐいと近寄る。

「で……たぶん、誤解されたんだと思う」

やっぱり、キスされたことは言えない。

「あー。奈々が呼び出したって?」
「そうそう」
たぶんそう。
高木先輩は誰かに呼び出されたんだと思う。
そしてそれが私だと勘違いしたんだよ。
だから、あんなことしたんであって……

「奈々ちゃん。高木先輩、あんまり良い噂聞かないよ」

私の思考をともちゃんの痛烈な一言が遮った。




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