コクリバ 【完】
車は静かに住宅街を出て、幼稚園へと向かっている。
洋祐先生は何も話さない。
居た堪れない雰囲気が辛くて、ずっと自分の膝を見ていた。
信号で車が止まった時、右側から視線を感じて顔を上げると、洋祐先生と目が合った。
でも何も言われない。
また膝に視線を戻した時、「はぁ」というため息が聞こえてきた。
私の失敗を責めるようなため息。
胸が痛くなった。
「奈々先生……」
「……はい」
話だした洋祐先生の声はとても低くて、それが良い内容ではないって想像つく。
「あなたはもっとできる人だと思っていました」
「……すみません」
「いつも笑顔で、周りを明るくして、子供たちとも全力で遊んでいる。そんな可愛らしい先生だと思っていました」
「……それは、言い過ぎです」
「周りからの評価も高かった。園長もあなたにクラスを任せるのは何の問題もないと言っていました」
「……ありがとうございます」
段々声が小さくなっていく。
そんな期待をされていて、その期待に応えられていない状況に涙が出そう。
洋祐先生は何も話さない。
居た堪れない雰囲気が辛くて、ずっと自分の膝を見ていた。
信号で車が止まった時、右側から視線を感じて顔を上げると、洋祐先生と目が合った。
でも何も言われない。
また膝に視線を戻した時、「はぁ」というため息が聞こえてきた。
私の失敗を責めるようなため息。
胸が痛くなった。
「奈々先生……」
「……はい」
話だした洋祐先生の声はとても低くて、それが良い内容ではないって想像つく。
「あなたはもっとできる人だと思っていました」
「……すみません」
「いつも笑顔で、周りを明るくして、子供たちとも全力で遊んでいる。そんな可愛らしい先生だと思っていました」
「……それは、言い過ぎです」
「周りからの評価も高かった。園長もあなたにクラスを任せるのは何の問題もないと言っていました」
「……ありがとうございます」
段々声が小さくなっていく。
そんな期待をされていて、その期待に応えられていない状況に涙が出そう。