コクリバ 【完】
分かるには分かるけど、私がそのやり方ができるとは限らなくて
私は子供が可愛くてしょうがなく、何でもやってあげたくなる。

「ななせんせい。これもつけてー」
「はーい。上の方にする?」
「うん。いちばん、うえ」
「上手に書けたね」
「あ、ようすけせんせー」

放課後のお残り保育の当番をしている時だった。
恒例の洋祐先生の見回りが来た。
相変わらずのネクタイ姿が暑そうだ。

「ゆなちゃんは今日は何をしているのかな?」
「えとね、タナバタリ」
「ん?」
「タナバタリを、つくったの」

途端に洋祐先生の顔がほころんだ。

「ゆなちゃん、それはタナバタじゃないかな?」
「……」

キョトンとしているゆなちゃんに助け船を出したくなる。

「ゆなちゃん、ひなまつりとたなばたと一緒になっちゃったね」
「うん。たなばたを、つくったの」

そう言って得意気に制作した物を見せるゆなちゃんは、あっという間に洋祐先生を見つけた他の子たちに端の方へと押しやられていた。
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