コクリバ 【完】
「ゆなちゃん、貸して。先生が一番上に付けてあげるね」
「……うん」
そう言ったきり、ゆなちゃんは洋祐先生の方を向いたままで、その手にある七夕飾りを渡してくれない。
洋祐先生は他の子たちに囲まれて、ゆなちゃんの方には気付いてないようで
「ゆなちゃん……」
私がそう言って手を出した時、
「ゆなちゃんはどこに付けたいんだ?」
横から大きな声が聞えてきて、ゆなちゃんがあっという間に洋祐先生に抱っこされていた。
着ている高そうなスーツが汚れないかと私が心配になる。
「あのね。うえにね。つけたいの」
「そうか。じゃ自分で一番上に付けてみろ」
「うん」
嬉しそうなゆなちゃんが、一生懸命笹の葉にヒモをひっかけようとしている。
なかなかかからないけど、洋祐先生はそれを笑って待っていた。
「ぼくもー。だっこー」
小さな子が洋祐先生を押している。
「順番な」
そう言った洋祐先生は、ゆなちゃんが飾りをつけ終わると本当に順番に子供たちを抱っこしていった。
洋祐先生の白いパリッとアイロンが効いたシャツが、ヨレヨレになっていく。
「……うん」
そう言ったきり、ゆなちゃんは洋祐先生の方を向いたままで、その手にある七夕飾りを渡してくれない。
洋祐先生は他の子たちに囲まれて、ゆなちゃんの方には気付いてないようで
「ゆなちゃん……」
私がそう言って手を出した時、
「ゆなちゃんはどこに付けたいんだ?」
横から大きな声が聞えてきて、ゆなちゃんがあっという間に洋祐先生に抱っこされていた。
着ている高そうなスーツが汚れないかと私が心配になる。
「あのね。うえにね。つけたいの」
「そうか。じゃ自分で一番上に付けてみろ」
「うん」
嬉しそうなゆなちゃんが、一生懸命笹の葉にヒモをひっかけようとしている。
なかなかかからないけど、洋祐先生はそれを笑って待っていた。
「ぼくもー。だっこー」
小さな子が洋祐先生を押している。
「順番な」
そう言った洋祐先生は、ゆなちゃんが飾りをつけ終わると本当に順番に子供たちを抱っこしていった。
洋祐先生の白いパリッとアイロンが効いたシャツが、ヨレヨレになっていく。