コクリバ 【完】
それからは母の質問攻め。
でも「分かれた」の一言で母は大人しくなった。

なんでそんな昔のことを知ってるのかと不思議に思って聞いてみると「吉岡から聞いた」と種明かしされた。
年に一度のOB会で吉岡とは仲が良くなったらしい。
吉岡に売られた気がした。

「明日、バスケ部の奴らと飲みに行くけど、おまえも来るか?」
「行ける訳ないじゃん」
「だな」

そう言うと微かに兄が笑った。

猛暑の中、エアコンも点けないで3人で話をした。
全開の窓から入ってくる風と、扇風機の風が心地いい。

片付けを手伝おうと立ち上がると、母が目を真ん丸にして驚いていた。

「奈々が、片付けするなんてー」
と目に涙まで溜めてるから、
「じゃ、やめた」
椅子に座り直すと、
「やれよ」
兄に蹴られた。

それをギッと睨んで、片づけは一人でした。

ものすごく母が喜んでいたから、実家にいる間は手伝ってもいっかな、なんて調子に乗ってしまう。
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