コクリバ 【完】
「ごめんね」
玄関まで急いで、そっとドアを開けると本当に吉岡が兄を担いで立っていた。
吉岡と二人でリビングまで兄を引っ張り入れると、吉岡もソファーにドカッと座り込む。
「ありがとう、ごめんね。重たかったでしょ?」
「いや、さっきまで歩いてたんだ。玄関前で待ってる時に寝られた」
ふーっと長いため息を出す吉岡を見て、大変だったんだろうなと想像がつく。
「何か飲む?」
「水もらっていい?」
「うん」
冷蔵庫から取り出した冷たい水を、吉岡は一気に飲み干した。
これは想像以上に大変だったんだと、更に申し訳なくなる。
ペットボトルごと持ってくると、空いたグラスに注ぎ足した。
「智さん、彼女と別れたらしい」
「そうなの?」
「それで荒れてたっぽい」
無遠慮に彼女のことを聞いたことに後悔した。
「俺も……」
「え?」
「彼女と別れた」
目を閉じソファーにもたれている吉岡が寂しそうに見える。
なんでそうしたのか分からないけど、私は立ち上がると吉岡の隣りの空いてる部分に腰かけて、その腕をトントンと叩き続けた。
玄関まで急いで、そっとドアを開けると本当に吉岡が兄を担いで立っていた。
吉岡と二人でリビングまで兄を引っ張り入れると、吉岡もソファーにドカッと座り込む。
「ありがとう、ごめんね。重たかったでしょ?」
「いや、さっきまで歩いてたんだ。玄関前で待ってる時に寝られた」
ふーっと長いため息を出す吉岡を見て、大変だったんだろうなと想像がつく。
「何か飲む?」
「水もらっていい?」
「うん」
冷蔵庫から取り出した冷たい水を、吉岡は一気に飲み干した。
これは想像以上に大変だったんだと、更に申し訳なくなる。
ペットボトルごと持ってくると、空いたグラスに注ぎ足した。
「智さん、彼女と別れたらしい」
「そうなの?」
「それで荒れてたっぽい」
無遠慮に彼女のことを聞いたことに後悔した。
「俺も……」
「え?」
「彼女と別れた」
目を閉じソファーにもたれている吉岡が寂しそうに見える。
なんでそうしたのか分からないけど、私は立ち上がると吉岡の隣りの空いてる部分に腰かけて、その腕をトントンと叩き続けた。