コクリバ 【完】
何も答えられなくて、洋祐先生から目を逸らした。
それが訊かれたことを肯定しているとは分かっていたけど……

「…奈々先生にずっと謝りたいと思っていました」

洋祐先生がポツリとつぶやくように言葉を出した。

「もういいです。気にしないでください」

答えた私の声は、棘があるように聞こえる。

「まだ許してはもらえないんですね」
「許すも許さないも……そう言われるようなことをしたのは私ですから……」
「今回のことで許してはもらえないですか?」
「今回のこと?」
「このキャンプ合コンです」
「えっ……これ、え?合コンなんですか?」

洋祐先生が眼鏡の奥でニヤリと笑ったような気がした。

「正確には異業種交流会です」
「でも、それって合コンですよね?」
「男女の出会いが目的ではなく、みんなで楽しもうってことです」
「いいんですか?下見は?」
「もちろん。下見も兼ねてますよ」

振り返った洋祐先生は、歯を見せて笑っていた。
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