コクリバ 【完】
翌朝、

習慣というものはすごいと思う。
こんな時なのに意外と早く起きてしまった。

目が覚めてしまうと2段ベッドは固く寝苦しいだけに感じ、そっとベッドを抜け出した。

他のベッドにはそれぞれがまだ夢の中にいるようで……あ、真理子先生も帰ってきている。

その姿に口角が上がってしまった。
起きたら昨晩のことをたっぷり聞いてやろう。なんて考えながら、物音を立てないように準備して、コテージからそっと外に出た。

出てみて、驚いた。
白いモヤがかかっている。

霧?

こんな深い霧を始めて見た。

10メートル先は白いモヤの中で、昨日の景色とは全く違っていて、幻想的な景色を独り占めしていることに興奮してしまう。
勘を頼りに少し歩きだすと、鳥のさえずりや、フクロウの鳴き声のようなものまで聞こえてきて余計に楽しくなってくる。

まるで絵本の世界に入ったみたい

他のグループが寝ているコテージを通り過ぎた時、白いモヤの向こうに人影が見えた。

誰だろう。

まさか、タイムスリップして江戸時代に来てしまったとか……

ワクワクする胸を押さえ数歩近寄ってみると、それは普通にTシャツと短パン姿の洋祐先生だった。
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