コクリバ 【完】
どれくらいそうしていただろう。
シーツを纏ったまま白い舞台に座って、市原先輩に言われるままに時々ポーズを変えたりした。
同じ姿勢でずっと座っているのがそんなに苦痛ではないのは、先輩が描いていく姿が美しかったから。
ずっと見ていて飽きなかった。
鉛筆を素早く動かす腕
私を見つめる真剣な目
真一文字に閉じられた口
全てが絵になるくらい綺麗だった。
先輩がモデルをしたらいいのに……
「奈々ちゃん。そんな観察するように、俺のこと見ないでよ」
「す、すみません」
市原先輩が苦笑いでこっちを見てるから、恥ずかしくなって、私もうつむいて苦笑いするしかなかった。
「いや。視線は下げないで」
「はい」
「そんな目じゃなくて、もっと恋するような目で見てくれると嬉しいな」
恋するような目?
って、どんな目?
「ははっ」
突然笑い出した先輩。
「いや。ごめん。そのままでいいよ」
肩が揺れてるから、絶対笑いを堪えてますよね?
私、どんな顔してたの?
なんか子供扱いされた気がする。
「視線を外して。そうだな、あっちの方見て」
鉛筆で窓の方を指された。
「うん。ポーズも変えよう」
先輩が立ち上がって、近付いてくる。
「ちょっと寝そべって」
自棄になって言われるままに横になる。
「上半身だけ起こして」
市原先輩がもう目の前にいた。
「そうそう。ちょっと触るよ」
先輩は細かいヒダにまでこだわってシーツを直し始めた。
その手がいきなりシーツをめくり、私の足が露わになる。
「これ邪魔だな」
先輩の手が紺色のソックスにかかる。
シーツを纏ったまま白い舞台に座って、市原先輩に言われるままに時々ポーズを変えたりした。
同じ姿勢でずっと座っているのがそんなに苦痛ではないのは、先輩が描いていく姿が美しかったから。
ずっと見ていて飽きなかった。
鉛筆を素早く動かす腕
私を見つめる真剣な目
真一文字に閉じられた口
全てが絵になるくらい綺麗だった。
先輩がモデルをしたらいいのに……
「奈々ちゃん。そんな観察するように、俺のこと見ないでよ」
「す、すみません」
市原先輩が苦笑いでこっちを見てるから、恥ずかしくなって、私もうつむいて苦笑いするしかなかった。
「いや。視線は下げないで」
「はい」
「そんな目じゃなくて、もっと恋するような目で見てくれると嬉しいな」
恋するような目?
って、どんな目?
「ははっ」
突然笑い出した先輩。
「いや。ごめん。そのままでいいよ」
肩が揺れてるから、絶対笑いを堪えてますよね?
私、どんな顔してたの?
なんか子供扱いされた気がする。
「視線を外して。そうだな、あっちの方見て」
鉛筆で窓の方を指された。
「うん。ポーズも変えよう」
先輩が立ち上がって、近付いてくる。
「ちょっと寝そべって」
自棄になって言われるままに横になる。
「上半身だけ起こして」
市原先輩がもう目の前にいた。
「そうそう。ちょっと触るよ」
先輩は細かいヒダにまでこだわってシーツを直し始めた。
その手がいきなりシーツをめくり、私の足が露わになる。
「これ邪魔だな」
先輩の手が紺色のソックスにかかる。