コクリバ 【完】
「奈々先生、その靴可愛い」

サポートに入ってくれてる理恵先生の可愛い声が、年中チームの唯一の救いだ。

「運動会のためにその靴買ったんでしょ?」

真理子先生がそう言って横目で見る。

「違いますよ。バーゲンで安かったんです」
「奈々先生が走るんじゃないのよ。あくまでも子供が主役」

めぐみ先生まで突っかかってくる。

「分かってますよ」

バチバチと火花が飛び散りそうな年中の担任たちの間にいても理恵先生はマイペースだった。

「黒地にピンクでNIKEのマークって、なんか奈々先生らしい」

私も欲しいなー、なんて理恵先生が呑気に言ってる。


私は黙って足元のスニーカーを見ていた。
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