コクリバ 【完】
そんなある日、大きな失敗をやらかしてしまった。
発表会の配役で一人の女の子が「どうしてもシンデレラをやりたかった」と幼稚園に来なくなったのだ。
だけど私が彼女を魔女役のまま変更しなかったら……
「経験の浅い奈々先生には無理なんじゃないですか?」
「ルナは毎日泣いてるんですよ」
「担任を変えてください」
「奈々先生が担任のままなら、ルナは他の幼稚園を探します」
その女の子のママとおばあさまが幼稚園にやってきて、園長と洋祐先生相手に私のダメなところを散々大声でまくし立てられた。
怒られるくらいならまだいい。
一番辛かったのは、私のせいでルナちゃんを幼稚園嫌いにさせてしまったこと。
発表会が2週間後に迫った日の午後、園長室に呼ばれた。
「失礼します」
冷たくなった手で園長室を開けると、ソファーの方に園長先生と洋祐先生が辛そうな顔で座っている。
一目でよくない話だと分かった。
私はクビなのかもしれない……
「奈々先生。ちゃんと食べてますか?」
園長先生の優しい声が私の涙腺を緩める。
「っはい」
「大丈夫ですよ。奈々先生。誰だって辛い時があります。それを乗り越えてこそ立派な先生になっていくんですよ」
「……」
発表会の配役で一人の女の子が「どうしてもシンデレラをやりたかった」と幼稚園に来なくなったのだ。
だけど私が彼女を魔女役のまま変更しなかったら……
「経験の浅い奈々先生には無理なんじゃないですか?」
「ルナは毎日泣いてるんですよ」
「担任を変えてください」
「奈々先生が担任のままなら、ルナは他の幼稚園を探します」
その女の子のママとおばあさまが幼稚園にやってきて、園長と洋祐先生相手に私のダメなところを散々大声でまくし立てられた。
怒られるくらいならまだいい。
一番辛かったのは、私のせいでルナちゃんを幼稚園嫌いにさせてしまったこと。
発表会が2週間後に迫った日の午後、園長室に呼ばれた。
「失礼します」
冷たくなった手で園長室を開けると、ソファーの方に園長先生と洋祐先生が辛そうな顔で座っている。
一目でよくない話だと分かった。
私はクビなのかもしれない……
「奈々先生。ちゃんと食べてますか?」
園長先生の優しい声が私の涙腺を緩める。
「っはい」
「大丈夫ですよ。奈々先生。誰だって辛い時があります。それを乗り越えてこそ立派な先生になっていくんですよ」
「……」