コクリバ 【完】
甘いウインナコーヒーを一口飲むと、店の照明が落とされ、オレンジ色の光だけがついた薄暗い店内に変わった。
どうしたのだろうとマスターを探すと、もう一つカップを持って私が座っている隣のソファーにゆったりと腰を下ろすマスター。
じっと見ていた私に、
「もう閉店の時間です」
マスターがおどけて言う。
「どうしたんですか?」
「たまには早目に閉店してもいいでしょ?どうせ誰もいないから……」
その口元が何かを語るように上がる。
「そんなんでお店の経営、大丈夫なんですか?」
ただの質問なのに、私の口調はとげとげしい。
「奈々ちゃん、何かあった?」
マスターが自分の前に置かれているブラックコーヒーを口に含んだ。
「……」
「俺の愛人になる?」
「なりません」
「じゃ、何があったの?」
はぁっとため息が漏れ出てしまう。
「仕事が……私には向かないかなって……」
「……」
「あの子たちの担任は私じゃない方が良かったのかも……」
マスターの視線から逃げるように窓の外へと視線を移した。
どうしたのだろうとマスターを探すと、もう一つカップを持って私が座っている隣のソファーにゆったりと腰を下ろすマスター。
じっと見ていた私に、
「もう閉店の時間です」
マスターがおどけて言う。
「どうしたんですか?」
「たまには早目に閉店してもいいでしょ?どうせ誰もいないから……」
その口元が何かを語るように上がる。
「そんなんでお店の経営、大丈夫なんですか?」
ただの質問なのに、私の口調はとげとげしい。
「奈々ちゃん、何かあった?」
マスターが自分の前に置かれているブラックコーヒーを口に含んだ。
「……」
「俺の愛人になる?」
「なりません」
「じゃ、何があったの?」
はぁっとため息が漏れ出てしまう。
「仕事が……私には向かないかなって……」
「……」
「あの子たちの担任は私じゃない方が良かったのかも……」
マスターの視線から逃げるように窓の外へと視線を移した。