コクリバ 【完】
「大丈夫です。自分で脱ぎます」

慌てて足を引いた。

「ごめんね。そうだね」

私がもし自分で、って言わなかったら、先輩は靴下を脱がしたのだろうか。

男の人に服を脱がされるなんて、例え靴下でもすっごく恥ずかしいんだけど。


靴下を脱いでもう一度横になると、先輩がシーツのヒダを直しにくる。

露わになった素足がとても恥ずかしい。

シーツは膝下までかかっていたけど、制服の部分が丸ごとシーツに隠れている。
描かれるとしたら、シーツしか着ていないように見えるかもしれない。

それも恥ずかしい……

先輩が戻ってデッサンを再開した。

シーツしか纏ってないように見える格好を見られている。
晒されてる素足も緊張する。

頬に熱が集まるのはしょうがないと思う。

「いいよ。さっきより良い顔してる。そのまま窓の方見てて」

シュ、シュ
先輩がデッサンしている音しか聞こえない。

先輩はなんで、人物を描く気になったんだろう。
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