コクリバ 【完】
駅に着くと電話をするまでもなく、改札からの階段下に洋祐先生が立っていた。
近付く足が震える。
「お待たせしました」
出した声も小さかった。
「奈々先生、夕飯は食べましたか?」
「……いえ」
「この先の店で、食べながらでも……」
「いいです。ここでいいです」
「……」
「今、ここで言ってください。覚悟は出来てます」
嘘だ。
覚悟なんて出来ていない。
指先がジンジンと落ち着かない。必要ない、と言われたら、立っていられる自信もない。
さっきまで、辞めたいと思っていたのに、実際に辞めさせられると思うと、足元が震える。
辞めたくない、と……
まだあの子たちの先生でいたい、と……
胸の奥で私が叫んでいる。
近付く足が震える。
「お待たせしました」
出した声も小さかった。
「奈々先生、夕飯は食べましたか?」
「……いえ」
「この先の店で、食べながらでも……」
「いいです。ここでいいです」
「……」
「今、ここで言ってください。覚悟は出来てます」
嘘だ。
覚悟なんて出来ていない。
指先がジンジンと落ち着かない。必要ない、と言われたら、立っていられる自信もない。
さっきまで、辞めたいと思っていたのに、実際に辞めさせられると思うと、足元が震える。
辞めたくない、と……
まだあの子たちの先生でいたい、と……
胸の奥で私が叫んでいる。