コクリバ 【完】
「市原もずっと悩んでいたそうだ。おまえを巻き込んだこと……」
「……」
「……まぁ、俺も、あんな絵にまんまと騙されたから、あいつばかりを責められないけどな……」
高木先輩の左頬が微かに上がった。
「私こそ……ちゃんと説明できないで……でも先輩。あの絵は私じゃありません。市原さんは美里さんのことを私に被せて描いたんです。だから、あの……キスマークだって、私にはないんです。あれは市原さんの想像で……本当に、私は…市原先輩とは……なんでも…ないん…で…」
やっと言えた。
やっと聞いてもらえた。
6年間、ずっとずっと言いたくて言えなかった、たったこれだけの言葉を、ようやく高木先輩に伝えられた。
それだけで十分。
これで先輩から卒業できる―――
いつしか私の言葉は、喉が詰まって続かなくなっていた。
「悪かった」
「っはい……」
「奈々……」
「っ……」
「……会いたかった」
「先輩……」
涙の堤防が決壊した。
顔を覆って隠すけど、隠せてないのが分かる。
まさか先輩も会いたいと思ってくれていたなんて……
ありがとう
もう十分過ぎるよ……
「……」
「……まぁ、俺も、あんな絵にまんまと騙されたから、あいつばかりを責められないけどな……」
高木先輩の左頬が微かに上がった。
「私こそ……ちゃんと説明できないで……でも先輩。あの絵は私じゃありません。市原さんは美里さんのことを私に被せて描いたんです。だから、あの……キスマークだって、私にはないんです。あれは市原さんの想像で……本当に、私は…市原先輩とは……なんでも…ないん…で…」
やっと言えた。
やっと聞いてもらえた。
6年間、ずっとずっと言いたくて言えなかった、たったこれだけの言葉を、ようやく高木先輩に伝えられた。
それだけで十分。
これで先輩から卒業できる―――
いつしか私の言葉は、喉が詰まって続かなくなっていた。
「悪かった」
「っはい……」
「奈々……」
「っ……」
「……会いたかった」
「先輩……」
涙の堤防が決壊した。
顔を覆って隠すけど、隠せてないのが分かる。
まさか先輩も会いたいと思ってくれていたなんて……
ありがとう
もう十分過ぎるよ……