コクリバ 【完】
店員さんを呼び数点頼んだけど、先輩のチョイスはどれも渋い系ばかりだった。
ポテトとかグラタンとかのカタカナの料理は一品もなかった。

「飲めるのか?」
「はい。強くないですけど……」
「想像できねー」

私がビールを頼むと驚く先輩。

もうあれから6年経ってますからね。

お酒や料理が運ばれてきて、乾杯もして、食べ始めるけど、先輩の意図が分からない。

過去の誤解はもう解けた。
他にもまだ話があるのだろうか……

「食べないのか?」
「……いただきます」
「明日は休みなんだろ?」
「なんでっ……って、それも兄に聞いたんですか?」
「あぁ。なんでも教えてもらった」

兄は個人情報とか、機密保持とか、そんな言葉を知らないんじゃないだろうか。
どこまでしゃべったんだろう。

「先輩は、明日は仕事じゃないんですか?」
「10連休中。当直はあるけどな」
「10連休?そんなことあるんですか?羨ましいです」
「……」

無言になった高木先輩。
どうやら言っちゃいけないことを言ってしまったらしい。
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