コクリバ 【完】

証言

よく寝られなかった。
明け方にウトウトしして、ベッドに入った。

今日が休みで良かった。


いつもより遅めに起きてコーヒーを淹れていると、携帯が震えだし着信を知らせた。

ドキンと心臓が鳴り、携帯を探すと、画面には❝智之”の文字。

予想は外れたらしい。

「はい」

『おまえ、今一人か?』

「え?」

『そこに誰かいるか?』

「何言ってんの?一人だよ」

『ほんとか?あいつはいないのか?』

「誰?」

『高木だよ。いないのか?』

その名前にドキッとした。

「お兄ちゃん。高木さんに何言ったの?」

『どういう意味だ。あいつに会ったのか?』

「住んでるとことかスケジュールも全部話したでしょう。やめてくれない?妹でも、個人情報っていうものが……」

『あいつ来たんだな』

「うん…来たよ」

電話の向こうで、母の声が聞える。
『「高木君?高木君がなんで奈々のところに?」
 「もう。母さんうるさいよ」』

どうやら母のいるところから電話してきているらしい。
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