コクリバ 【完】
「やっぱりそうだったのか。俺が誤解してたんだな」
「うん」
「俺が高木を責めたもんな。てっきりおまえが乱暴されたと頭に血が上ってたから……高木に悪いことしたな」
「お兄ちゃんのせいじゃないよ」

誰のせいでもない。
ただ私が弱かっただけだと、今になってみれば良く解る。

「悪かったな。だから、おまえらやり直せ」
「は?何言ってんの。無理だよ」
「だから、もう不倫はやめろ」
「不倫?」
「シングルマザーになるっつったらそれしかねーだろ」
「してないよ」
「相手は副園長なんだろ?」
「してないって」
「副園長って男を見た時、ピンときた。奈々。兄ちゃんは許さな……」
「してないって言ってるでしょ!」

反省してないで、また誤解してるじゃん。

「じゃ、あいつのおまえを見る目はなんだ!」
「副園長とはなんでもないし、あの人結婚もしてないって。勝手に話作ってみんなに言いふらすのやめてよ。高木先輩にも不倫するなって言われたじゃん」
「してないのか?」
「だからそう言ってるでしょ!」
「……そうか、ならいい」
「……」

納得してない言い方が余計ムカつく。
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