コクリバ 【完】
洋祐先生と北口の居酒屋に入った。
昼時の居酒屋には洋祐先生は入ったことがないらしく、主婦や小さい子供がいることに驚いている。
ただ、奥の個室に通されて、お店選びを間違えたと気付いた。
ランチとは言え、そこは居酒屋―――どことなく大人の雰囲気が漂う空間。
洋祐先生はそういうのは気にならないのか、既にノートパソコンをセットしていて仕事モードに入っていた。
「洋祐先生。来年度の何が分からないんですか?」
「全部ですよ。例えば運動会はどれくらい前に準備を始めるとか……それによって子供たちを外に連れ出せる期間が決まってくるでしょ?」
「はぁ。でも、そういうことなら友紀奈先生とかの方が良くご存知ですけど……」
洋祐先生が書類を探す手を休め私の目を捉える。
「口実ですよ」
意味深に口元を緩めて、また書類へ視線を落とした洋祐先生。
何の口実?
たったそれだけのヒントで答えを出せとでも?
洋祐先生の側にはいつも友紀奈先生がいるじゃないですか。
「奈々先生」
「っはい」
声が裏返った。
それに気付いたのか、洋祐先生がニヤリと笑って
「ランチのメニュー決めましたか?」
それだけを言ってくる。
昼時の居酒屋には洋祐先生は入ったことがないらしく、主婦や小さい子供がいることに驚いている。
ただ、奥の個室に通されて、お店選びを間違えたと気付いた。
ランチとは言え、そこは居酒屋―――どことなく大人の雰囲気が漂う空間。
洋祐先生はそういうのは気にならないのか、既にノートパソコンをセットしていて仕事モードに入っていた。
「洋祐先生。来年度の何が分からないんですか?」
「全部ですよ。例えば運動会はどれくらい前に準備を始めるとか……それによって子供たちを外に連れ出せる期間が決まってくるでしょ?」
「はぁ。でも、そういうことなら友紀奈先生とかの方が良くご存知ですけど……」
洋祐先生が書類を探す手を休め私の目を捉える。
「口実ですよ」
意味深に口元を緩めて、また書類へ視線を落とした洋祐先生。
何の口実?
たったそれだけのヒントで答えを出せとでも?
洋祐先生の側にはいつも友紀奈先生がいるじゃないですか。
「奈々先生」
「っはい」
声が裏返った。
それに気付いたのか、洋祐先生がニヤリと笑って
「ランチのメニュー決めましたか?」
それだけを言ってくる。