コクリバ 【完】
沈黙が辛くて、ごくりと唾を飲みこんだ。
「洋祐先生。……私は、忘れられない恋がありました」
「谷から聞きました。でも高校生の頃だとか?」
「はい。高1の時です。すごく好きになった人がいました」
「……その人が今でも忘れられないんですか?」
「いえ。たぶん、忘れられないのは、人ではなく、その頃の辛かった記憶です。トラウマかもしれません」
「何があったんですか?良かったら聞かせてほしい」
「そんな語るほどのことはありません。ただ、その人の心変りが辛かったんです。何も疑わずに大好きになって、知らない間に誤解されて、気付いたら相手には他の人がいたんです」
胸が痛い。
まだ傷が癒えていないかのよう。
もう6年も経ってるのに……
「……相手の心変りが怖いと?」
「……はい。たぶん。傷つくのが怖いんです。もうあんな思いはしたくない……」
「話してくれてありがとう」
「すみません」
「謝らないでください」
「だから……」
「私なら大丈夫ですよ。あなたを悲しませるようなことはしない。いつでもあなたを支えます。だから信じて。奈々……」
洋祐先生が私の右手を掴んだ。
「洋祐先生。……私は、忘れられない恋がありました」
「谷から聞きました。でも高校生の頃だとか?」
「はい。高1の時です。すごく好きになった人がいました」
「……その人が今でも忘れられないんですか?」
「いえ。たぶん、忘れられないのは、人ではなく、その頃の辛かった記憶です。トラウマかもしれません」
「何があったんですか?良かったら聞かせてほしい」
「そんな語るほどのことはありません。ただ、その人の心変りが辛かったんです。何も疑わずに大好きになって、知らない間に誤解されて、気付いたら相手には他の人がいたんです」
胸が痛い。
まだ傷が癒えていないかのよう。
もう6年も経ってるのに……
「……相手の心変りが怖いと?」
「……はい。たぶん。傷つくのが怖いんです。もうあんな思いはしたくない……」
「話してくれてありがとう」
「すみません」
「謝らないでください」
「だから……」
「私なら大丈夫ですよ。あなたを悲しませるようなことはしない。いつでもあなたを支えます。だから信じて。奈々……」
洋祐先生が私の右手を掴んだ。