コクリバ 【完】
椅子から落ちそうになった。
「誰が?あの人?ここに来たの?」
「来たよ」
「あのあと?」
「ううん。今日」
「今日?」
「の朝」
「朝?」
「オウム」
「オウム?」
「奈々ちゃんの聞き方、オウム返しって言うんだよ」
「もう。マスター」
アハハ…と声をあげて笑うマスターは楽しそう。
「マスター。ほんと?高木先輩がまた来たの?」
「そう。一人でふらっと寄って、モーニング食ってった」
「なんで?」
「泊まったんだろ?」
「え?」
ドキリと鼓動が大きく打った。
「最初は奈々ちゃんちからの朝帰りかと思ったけど、そんな感じでもなさそうだったしな」
「どこに泊まったの?」
「俺が知る訳ないだろ」
「なんで?まだ終電とか十分間に合う時間だったのに……」
「あぁ。あいつバイクだよ」
「バイク?」
またマスターは「オウム」と言って笑っている。よっぽどさっきのが気に入ったみたいだ。
「それで?高木先輩、なんて?」
「気になる?」
「別に……」
「あ、そ」
楽しそうにサイフォンをかき混ぜているマスターに無性に腹が立ってくる。
「もう!あの人、なんでここに来たの?」
「それはうちの珈琲が気に入ったからだろ」
「ふーん。……そっか泊まったんだ。お酒飲んだからね。でもバイクだなんて一言も言ってなかったのに……」
「あいつ、奈々ちゃんのことが聞きたかったんだろうな」
「何も言ってないよね?」
「あんなやつに大事な奈々ちゃんの情報教える訳ないだろ」
「良かった」
「いっつも恋愛は長続きしないとか…」
「え?」
「最近仕事で悩んでたけど、甘えられる彼氏がいないとか…」
「ちょっとマスター!」
「それくらいしか教えてやらねーよ」
「……言ってんじゃん!」
「あはは……はい、ブレンドお待たせ」
「誰が?あの人?ここに来たの?」
「来たよ」
「あのあと?」
「ううん。今日」
「今日?」
「の朝」
「朝?」
「オウム」
「オウム?」
「奈々ちゃんの聞き方、オウム返しって言うんだよ」
「もう。マスター」
アハハ…と声をあげて笑うマスターは楽しそう。
「マスター。ほんと?高木先輩がまた来たの?」
「そう。一人でふらっと寄って、モーニング食ってった」
「なんで?」
「泊まったんだろ?」
「え?」
ドキリと鼓動が大きく打った。
「最初は奈々ちゃんちからの朝帰りかと思ったけど、そんな感じでもなさそうだったしな」
「どこに泊まったの?」
「俺が知る訳ないだろ」
「なんで?まだ終電とか十分間に合う時間だったのに……」
「あぁ。あいつバイクだよ」
「バイク?」
またマスターは「オウム」と言って笑っている。よっぽどさっきのが気に入ったみたいだ。
「それで?高木先輩、なんて?」
「気になる?」
「別に……」
「あ、そ」
楽しそうにサイフォンをかき混ぜているマスターに無性に腹が立ってくる。
「もう!あの人、なんでここに来たの?」
「それはうちの珈琲が気に入ったからだろ」
「ふーん。……そっか泊まったんだ。お酒飲んだからね。でもバイクだなんて一言も言ってなかったのに……」
「あいつ、奈々ちゃんのことが聞きたかったんだろうな」
「何も言ってないよね?」
「あんなやつに大事な奈々ちゃんの情報教える訳ないだろ」
「良かった」
「いっつも恋愛は長続きしないとか…」
「え?」
「最近仕事で悩んでたけど、甘えられる彼氏がいないとか…」
「ちょっとマスター!」
「それくらいしか教えてやらねーよ」
「……言ってんじゃん!」
「あはは……はい、ブレンドお待たせ」