コクリバ 【完】
そんな日がひと月以上過ぎていた。
2月に入り、街は一気にバレンタインモードになっている。

だから思い出すのか……
だから寂しくなるのか……


「奈々先生」

真理子先生のニヤニヤ顔が目の前にあった。

「はい」
「何考えてた?」
「別に、何も」
「ふーん」
「なんですか?」
「日報の用紙、裏返しになってるけど」

ハッとして手元を見ると、真っ白な用紙に向かってペンを握っていた。

「し、下書きしようとしてたんです」
「へー。今日、飲みに行こうか」
「行きません」
「だって明日休みでしょ?夕飯食べにいこ」

真理子先生は気付いたんだ。

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