コクリバ 【完】
「来年はどこの担当になるだろうね?ね、奈々先生」
真理子先生と二人きりで食事に出たのは久しぶり。
私の変化に気が付いて誘ってくれたんだと思うと、肉食系も優しさを見せてくれる時もあるんだと変に感動した。
「……」
「何があったの?年が明けてから奈々、変だよ」
「真理子さん……あの人に会ったんです」
「あの人って?」
「私が忘れられなかった……」
「奈々の高校時代の?」
「はい」
「なんで?」
「誤解だったって知ってくれたみたいで、会いにきてくれたんです」
「良かったじゃん。ずっと好きだったんでしょ?」
私は黙って首を横に振った。
「なんで?奈々の忘れられない人なんでしょ?」
「忘れられないのは人じゃなくて、自分の気持ちで…辛かった記憶が忘れられなくて……」
「うん」
「もう、あの人の事なんとも思ってないはずなんですけど……」
「うん」
「あの人だって今更、何も思ってないんですけど……」
「うん」
「もう一度……」
「うん。もう一度?」
「…………会いたい……」
そう口にした私の言葉は小さくて、真理子先生には聞こえなかったかもしれない。
でも、これが本心。
もう一度だけでも高木さんの姿が見たい。
真理子先生と二人きりで食事に出たのは久しぶり。
私の変化に気が付いて誘ってくれたんだと思うと、肉食系も優しさを見せてくれる時もあるんだと変に感動した。
「……」
「何があったの?年が明けてから奈々、変だよ」
「真理子さん……あの人に会ったんです」
「あの人って?」
「私が忘れられなかった……」
「奈々の高校時代の?」
「はい」
「なんで?」
「誤解だったって知ってくれたみたいで、会いにきてくれたんです」
「良かったじゃん。ずっと好きだったんでしょ?」
私は黙って首を横に振った。
「なんで?奈々の忘れられない人なんでしょ?」
「忘れられないのは人じゃなくて、自分の気持ちで…辛かった記憶が忘れられなくて……」
「うん」
「もう、あの人の事なんとも思ってないはずなんですけど……」
「うん」
「あの人だって今更、何も思ってないんですけど……」
「うん」
「もう一度……」
「うん。もう一度?」
「…………会いたい……」
そう口にした私の言葉は小さくて、真理子先生には聞こえなかったかもしれない。
でも、これが本心。
もう一度だけでも高木さんの姿が見たい。