コクリバ 【完】
あとはもう夢中だった。

先輩がTシャツを脱いだ時、あの頃とは違う身体つきに驚いた。

腹筋がハッキリ分かる。

抱きしめられてる腕の上腕二頭筋だかの筋肉も見える。

今日から本当にマッチョ好きになりそうで危険。

気付くと私も何も着ていない状態になっていて、それを上から先輩がじっと見ている。

「なんですか?」

「変わったな、おまえ」

「見ないでください」

「別人みたいになってるな」

大きな手が私の胸に感触を確かめるかのようにゆっくりと触れる。

「ん…そんなに、見なくても…」

急に力強く両方の胸が掴まれて叫びそうになった。

「ムカつくな。誰にこんなにされたんだよ」

荒々しい手つきに、一気に快感が押し寄せてくる。

「あっ…ちがっ…成長しただけで、す…」

その声は届かなかったのか、先輩は止まらない。

お互いの存在を確かめるようにしっかり繋がれた手に力が入る。

どんなに私が待ったをかけても先輩の手と舌が私を翻弄し続け、

「奈々……」

低い声に全身が反応してしまう。

もう自分が自分ではなくなっていくような……

いや、こっちの方が本当の私なんだ。
< 468 / 571 >

この作品をシェア

pagetop