コクリバ 【完】
先輩の腕の中でもがいているのに、私の中から赤い傘は消えなくて、
「…あ…もう……」
先輩が私の中に入ってきた瞬間、赤い傘が開いた気がした。
込み上がる感情に涙が止まらない。
先輩の腕にしがみつきながら、酸素を求めて、
「奈々……」
見上げると、先輩の顔は余裕がなくて、細められた目と開いた口が妖艶過ぎて、見続けていられなかった。
ずっと想い続けていたからなのか、この状況が素直が信じられなくて、
「ん…ん…」
何も考えられなくなって、
「あぁ……先輩!」
このまま熔けてしまいたくなる。
「はぁっ、おまえ、もう、それやめろ。名前で呼べ」
「あっ…セイヤ……」
「っ…奈々…」
「セイ、ヤ…」
身体の内側から駆け上ってくるものに、思考も何も支配されて、ただ目の前の男を感じた。
奪い合うように、求めあい、
埋め尽くすように、お互いを貪った。
「…あ…もう……」
先輩が私の中に入ってきた瞬間、赤い傘が開いた気がした。
込み上がる感情に涙が止まらない。
先輩の腕にしがみつきながら、酸素を求めて、
「奈々……」
見上げると、先輩の顔は余裕がなくて、細められた目と開いた口が妖艶過ぎて、見続けていられなかった。
ずっと想い続けていたからなのか、この状況が素直が信じられなくて、
「ん…ん…」
何も考えられなくなって、
「あぁ……先輩!」
このまま熔けてしまいたくなる。
「はぁっ、おまえ、もう、それやめろ。名前で呼べ」
「あっ…セイヤ……」
「っ…奈々…」
「セイ、ヤ…」
身体の内側から駆け上ってくるものに、思考も何も支配されて、ただ目の前の男を感じた。
奪い合うように、求めあい、
埋め尽くすように、お互いを貪った。