コクリバ 【完】
交代でシャワーを浴びた後、昨日作りかけていたコーヒーを淹れる。後ろには高木先輩の気配。

「簡単なものでいいですか?」
「奈々」
「はい」
「料理できるようになったのか?」
「え……当り前じゃないですか!そのために一人暮らししてるんですから…」
「そのために?」
「そのためだけじゃないですけど…」
「俺がやった方が早いんじゃねーか?」
「いいから、座ってコーヒー飲んでてください」

簡単な朝ごはんを作るだけなのに、すごく緊張する。
失敗できない。
こんなに緊張する料理ってあり得ないと思う。

「コーヒー旨いな。おまえ、コーヒー淹れるのだけは上手くなったんだな」

やたら気合を入れて朝ごはんを作った。
トーストに目玉焼き程度だったけど…疲れる。

「奈々。この程度で料理って言うなよ。昼は俺が作ってやる」
「その前に買い物行っていいですか?」
「今日か?」
「はい。バレンタインのプレゼントを……何が欲しいですか?」
「……奈々」
「はい」
「おまえだよ」
「え?」
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