コクリバ 【完】
ダイニングテーブルを挟んで、高木先輩が手を伸ばしてくる。

まだ朝食を食べ終わってないのに、自分は椅子から立たないで私に来いと言っている。

なんて横着なやつなんだ。

絶対に行かない。

無視してコーヒーを口に入れる。

「奈々……」

顔を上げてウッカリその瞳を見てしまった。

優しげに弧を描いているその瞳に引き込まれるように―――立ち上がってしまった。


自分でバカだと思う。

この瞳を見ていたら断れない―――どころかなんでもしてあげたくなる。


昨夜よりかは穏やかな2回戦目が始まった。

おかげで、かなり「セイヤ」と呼ぶことが抵抗なくなったけど。
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