コクリバ 【完】
「このままマティスに行ったら、マスター激怒すんだろうな」

まだお互い服も着ないでベッドの中に横になっていた。

「マスターにはメアド教えてるくせに、私には教えてくれないですよね」

「おまえが聞かないからだろ」

そう言うと高木先輩は裸のままベッドを下りて隣の部屋へ行った。

その手には自分の携帯と私の携帯。

「ほら」

そう言って見せられた画面には、知りたかった高木先輩のメールアドレスが表示されていた。

s.takagi○○○407@○○○.ne.jp

自分のスマホを操作して登録する。
思わずニンマリとしてしまった。

ついに高木先輩のメアドをゲットした!

長かった。
6年待ったメアドが輝いて見える。

「……奈々。嬉しそうだな」

「そんなことないですよ」

「じゃ、俺にも教えろよ」

ゲットした喜びですっかり忘れていた。

登録したばかりのアドレスを呼び出し、メールを送信する。

『奈々です』

初めて送った記念すべきメール。
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