コクリバ 【完】
「でも先輩、メール送ったらちゃんと返してくれますか?苦手とか言って返してくれ無さそう」
「必要なら返信するだろ。つーかおまえ、また呼び方戻ってるぞ」
「あ…。“先輩”のままじゃダメですか?なんかまだセイヤって呼びすてには慣れなくて……」
「……高校の時、おまえ、サトルのことも“先輩”って呼んでただろ」
「覚えてないですけど……たぶん」
「呼んでたんだよ。その声が耳に残ってんだよ。勝手な妄想だけど、おまえとサトルがヤってるとこが頭から離れねー」
「してないですよ」
「今は分かってるけど、ずっと裏切られたと思ってたんだ。しょーがねーだろ」
「……」
「女なんか信じられなかった……」

高木先輩が小さく見える。

そんなにも苦しめていたなんて……胸が痛い。

ベッドに腰掛けている高木先輩を後ろから抱きしめた。

「もう、先輩って呼ばない。だから、もう忘れましょう。ね、セイヤ」
「奈々……」
「うん?」
「誘ってんだろ?」
「へ?」
「おまえ、自分が裸だって分かってんだろーな」
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