コクリバ 【完】
どうして嘘はすぐにバレるのに、真実は6年間も知られることがなかったんだろう。
全く理不尽だと思う。
「大人しく出さないと、探し出すぞ」
あぁ、この刑事キャラだけは変わってないんだ。
「はぁ…」
「奈々!」
「使うんですか?」
「はぁ?」
「うちにあるやつを…使うんですか?」
「あんじゃねーか。さっさと持ってこい」
ベッドから落とすように追い出された。
渋々服を着て、引き出しから箱を取り出し、提出した。
その箱を一瞥するとゴミ箱に投げ入れた高木先輩の左頬が上がる。
「俺には小さすぎる」
ぷっ、っと吹きだすと蹴られた。
蹴りながら高木先輩も笑っている。
「他は?」
「他ですか?」
「男が置いてった物はないのか?」
「……」
「出せ」
結局Tシャツやら歯ブラシのストックやら数点を押収した刑事は、満足そうに全てをゴミ箱に投げ入れた。
「俺が嫉妬深いって知らなかったか?」
「……知ってた」
高校の頃、怒られた記憶がある。
それで怖くて他の男友達と全く接触しなかった頃もあった。
「おまえだけだ」
「え?」
「おまえといると、自分が情けなくなる」
「高木…さん?」
「すぐにどこかに飛んでいきそうで……トラウマだな」
腕を引かれ、強く抱きしめられた。
痛いくらいに強く抱きしめるから、それだけ不安は大きかったんだと思った。
私にとっての赤い傘みたいなものだろうか……
高木先輩の気持ちがよく分かる。
「どこにも行かない。って言うか、どこにも行ってない」
「……そうだな。だけど、長い間思ってたことはなかなか消えない」
「……うん」
満たされていた胸の中が、一瞬で消える脆い砂の城のようなものだと気付いた。
消えないように高木先輩に触れて、その感触を確かめる。
「大丈夫だよ」
薄っぺらい言葉だけど、その言葉を信じるしかない。
全く理不尽だと思う。
「大人しく出さないと、探し出すぞ」
あぁ、この刑事キャラだけは変わってないんだ。
「はぁ…」
「奈々!」
「使うんですか?」
「はぁ?」
「うちにあるやつを…使うんですか?」
「あんじゃねーか。さっさと持ってこい」
ベッドから落とすように追い出された。
渋々服を着て、引き出しから箱を取り出し、提出した。
その箱を一瞥するとゴミ箱に投げ入れた高木先輩の左頬が上がる。
「俺には小さすぎる」
ぷっ、っと吹きだすと蹴られた。
蹴りながら高木先輩も笑っている。
「他は?」
「他ですか?」
「男が置いてった物はないのか?」
「……」
「出せ」
結局Tシャツやら歯ブラシのストックやら数点を押収した刑事は、満足そうに全てをゴミ箱に投げ入れた。
「俺が嫉妬深いって知らなかったか?」
「……知ってた」
高校の頃、怒られた記憶がある。
それで怖くて他の男友達と全く接触しなかった頃もあった。
「おまえだけだ」
「え?」
「おまえといると、自分が情けなくなる」
「高木…さん?」
「すぐにどこかに飛んでいきそうで……トラウマだな」
腕を引かれ、強く抱きしめられた。
痛いくらいに強く抱きしめるから、それだけ不安は大きかったんだと思った。
私にとっての赤い傘みたいなものだろうか……
高木先輩の気持ちがよく分かる。
「どこにも行かない。って言うか、どこにも行ってない」
「……そうだな。だけど、長い間思ってたことはなかなか消えない」
「……うん」
満たされていた胸の中が、一瞬で消える脆い砂の城のようなものだと気付いた。
消えないように高木先輩に触れて、その感触を確かめる。
「大丈夫だよ」
薄っぺらい言葉だけど、その言葉を信じるしかない。