コクリバ 【完】
笑っていたら、紙を投げつけられた。

「違いますよ。あの人なんです。高校時代の先輩です」
「付き合うことになったの?」
「たぶん…何も言われてないですけど……」
「ウソー。いつの間に?って言うか、自衛隊さんだったんだ」
「はい。見学行きませんか?」
「行く!もちろん行く」
「当番、大丈夫ですか?」
「当番だったら代わってもらう。奈々の彼氏見たいもん」
「ミニスカートはダメみたいですよ」
「なんで?」
「なんか階段がハシゴみたいになってるって…」
「へー」
「あと露出の多い服もダメらしいです」
「なんで?」
「うーん。男が多いからとか言ってました」
「え?」
「やっぱ刺激しちゃダメなんでしょうね」
「え?え?え?どういうこと?そういうこと?」

真理子先生の目が輝きだすから、思わず噴いてしまった。


そこからの真理子先生の行動は早かった。
まず大事なのは人選らしく、選抜メンバーで行くと決めた真理子先生は、さっそく携帯を取り出した。

「真理子先生。合コンじゃないんですよ」
「分かってるって。滅多にできない社会勉強だから準備が大切なの」

よく分からない持論で、次の日にはメンバーが決まっていた。
もちろん私も良く知っている合コン仲間の戦友・大橋先生ともう一人、4名の選抜チームらしい。

コンセプトは、幼稚園教諭の社会見学。

派手すぎず、清潔感のある服装で、
スカート禁止、胸元の開いた服禁止。
疲れた顔も厳禁―――

「真理子先生。なんですかこのメールの内容。合コンじゃないんですって」
「ふっ。彼氏持ちは黙ってなさい!」

どうやら自衛隊の仕事内容までリサーチを始めたらしい。
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