コクリバ 【完】
「誰もいないの」
「え?」
火曜日の朝一番、受け持っていた用具置き場の整理整頓をしているとき、わざわざ友紀奈先生が用具置き場までやってきてそう言いだした。
「私は明日から泊りで東京まで研修なの。だからどうしてもずらせなくて……他の人もそれぞれ当番や休みを取っていて……奈々先生、一人で大丈夫?」
「えっ。一人なんですか?洋祐先生も来れなくなったんですか?」
「洋祐先生のご都合は聞いてないけど、奈々先生と二人っきりっていうのはねー。どうかしらねー」
「じゃ、私が行かない方にしたら……」
「ダメに決まってるでしょ!本当は全員で行きたい研修なのに、誰も行かないってあり得ないでしょ!」
「そ、そうですよね……」
「奈々先生、しっかり聞いてきて、みんなにちゃんと教えてくださいね」
「はい」
友紀奈先生が園長先生に似てきた。
もう、そのつもりなのかもしれない……
「奈々先生」
今ではもう慣れた男の人の声に友紀奈先生と同時に振り返った。
「明日の研修の件ですが、場所分かりますか?」
adidasのジャージ姿の洋祐先生が用具置き場前で立ち止まった。
「え?」
火曜日の朝一番、受け持っていた用具置き場の整理整頓をしているとき、わざわざ友紀奈先生が用具置き場までやってきてそう言いだした。
「私は明日から泊りで東京まで研修なの。だからどうしてもずらせなくて……他の人もそれぞれ当番や休みを取っていて……奈々先生、一人で大丈夫?」
「えっ。一人なんですか?洋祐先生も来れなくなったんですか?」
「洋祐先生のご都合は聞いてないけど、奈々先生と二人っきりっていうのはねー。どうかしらねー」
「じゃ、私が行かない方にしたら……」
「ダメに決まってるでしょ!本当は全員で行きたい研修なのに、誰も行かないってあり得ないでしょ!」
「そ、そうですよね……」
「奈々先生、しっかり聞いてきて、みんなにちゃんと教えてくださいね」
「はい」
友紀奈先生が園長先生に似てきた。
もう、そのつもりなのかもしれない……
「奈々先生」
今ではもう慣れた男の人の声に友紀奈先生と同時に振り返った。
「明日の研修の件ですが、場所分かりますか?」
adidasのジャージ姿の洋祐先生が用具置き場前で立ち止まった。