コクリバ 【完】
もし、私の予想が当たってるなら、美術室での「俺の……」発言も納得できる。
もし、本当に、私の都合の良い解釈通りなら……

「好きっていう気持ちは分かりませんが、憧れてる人がいます」
思い切って言ってみることにした。

「市原だろ?」

なんでそうなるんですか。
でも高木先輩が私から視線を逸らして自転車のグリップのとこをずっといじってるから、なんだか可愛く思えてきた。

「いえ…」
これで、もしかしたら分かってくれるかもしれない、

「違うやつか?」
伝わらなかったようだ。

はっきり言った方がいいのかもしれない。

「バスケ部のキャプテンです」

そんな予定ではなかったし、
言うつもりなんてなかったけど、
言わされたのかもしれないけど、

これが、人生初めての告白だった。
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