コクリバ 【完】
それから、私たちの交際は順調に続いた。

初めの頃こそ、私の部屋に入り浸るようになっていた彼だったけど、すぐに身体が怠い、と朝は一緒に出て、寮に戻ってトレーニングしているようだった。

私も、すぐに年少のユリ組の先生として、平日は忙しくなったから、泊まるのは週末だけにしてほしいと彼にお願いした。

それまで一人で生活してきたから、急に二人になったからと言って生活は変えられない。

ちゃんと仕事にも集中したい。

それは彼も同じようで、仕事の前の日は早めに帰っていく。


出航やら、当直やらで、毎週会えることはなかったけど、それでも少ない時間を大事に過ごした。
彼は大抵、マティスで待ってたけど、マティスが閉まってる時だけ合鍵で先に入っていた。
あの、洋祐先生の車で送ってもらったのを見た時も、マティスは閉まっていたらしい。


何回か水色のヘルメットの出番もあった。
バイクの後ろに乗るたびにコツを掴んできて、スピードを楽しめるようになってきた。


そんな穏やかでも忙しい日々が続いたある日、ついに恐れていたことが起こった。
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