コクリバ 【完】
急な話だったけど、絢香は「行く!絶対、行く!」と言って親を説得していたし、私も絢香のお母さんと電話で話したりしてなんとかOKを貰った。

ともちゃんも誘ってみたらすんなりOKということだった。

こうして私たち女子高生3人組も、兄たちのデカいバスケ部軍団に紛れて、試合会場に行けるようになった。

移動中はすっごく楽しくて、電車の4人掛けに座っていた私たち女子高生チームの空いてる1席を巡って、プチバトルがあったりした。

獲得したのは、菊池義人。
「ともちゃんの隣りがいい」と宣言したので、みんなでひやかしたりして笑ってた。

だけど、そんな楽しい空気は会場に着くと一変した。

これまで勝ち抜いたチームばかりとあって、会場が独特の緊張感に包まれている。

応援席も、譲り合いながらも牽制しあっているような、そんな雰囲気。

ユニホームを着れなかった部員たちのところまで行くと、その周りには保護者や応援の子たちもいて、けっこう大きな応援団になっていた。

その中には吉岡もいた。
そして、絢香のお目当てのオサムッチも…

試合が始まる。

午前中にあるこの試合に勝てば、午後からの決勝リーグに進める大事な試合。
負ければ、このまま帰らなくてはいけない。

体育館にキュキュという靴音が響く。

高木先輩は、カッコよかった。

ドリブルしながら指さして支持する姿も、
ゴール下の攻防での長い腕も、
敵に詰め寄る鋭い眼も、
3ポイントシュートのときの綺麗な姿勢も、
そして何よりシュートをきめるときの存在感も、

全てが、カッコ良かった。
それはもう、映画とかを見るよりも感動した。

途中、苦戦はしたけど、高木先輩たちは勝った。

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