コクリバ 【完】
午後からの試合が始まった。
決勝リーグは総当たり戦で、明日も試合がある。
もちろんそうなるだろうと、宿泊の用意もしてきた。
私たち女子高生3人組で一部屋。
でも高木先輩に気付いてもらえなかった今は、あれだけ楽しみにしていたお泊りも空しくてもう帰りたい気分。
だけど試合が始まってしまうと、やっぱり高木先輩に目がくぎ付けで、爪の跡が残るくらい、両手を握りしめていた。
決勝リーグ1回戦も、見事な勝利。
もう私の存在に気が付かなくてもいいや
それでも高木先輩のバスケをしている姿が見られたし、応援することができたから。
戻ってから話す機会があったら、そのときに「実はあの会場にいたんです」って種明かししてもいいかも。
そんな風に思いながら、兄たちと今日の宿泊先へと向かっていた。
ここからホテルまで歩いて行くらしく、前を行くデカいOB軍団の後ろを3人で喋りながら歩いていた。
だから体育館の横に立っていたその人たちに気付かなかった。
通り過ぎてから、
「おい」
という声に振り返ったら、吉岡とオサムッチが立っていた。
振り向いたまま反応できなかった私たちに、
「おまえら今日、泊り?」
オサムッチが聞いてきた。
「うん……なんで?」
絢香がこれまで聞いたことがないような可愛い声で返事をして、見たことがないような優しそうな瞳でオサムッチに微笑んでいる。
笑いそうになった。
決勝リーグは総当たり戦で、明日も試合がある。
もちろんそうなるだろうと、宿泊の用意もしてきた。
私たち女子高生3人組で一部屋。
でも高木先輩に気付いてもらえなかった今は、あれだけ楽しみにしていたお泊りも空しくてもう帰りたい気分。
だけど試合が始まってしまうと、やっぱり高木先輩に目がくぎ付けで、爪の跡が残るくらい、両手を握りしめていた。
決勝リーグ1回戦も、見事な勝利。
もう私の存在に気が付かなくてもいいや
それでも高木先輩のバスケをしている姿が見られたし、応援することができたから。
戻ってから話す機会があったら、そのときに「実はあの会場にいたんです」って種明かししてもいいかも。
そんな風に思いながら、兄たちと今日の宿泊先へと向かっていた。
ここからホテルまで歩いて行くらしく、前を行くデカいOB軍団の後ろを3人で喋りながら歩いていた。
だから体育館の横に立っていたその人たちに気付かなかった。
通り過ぎてから、
「おい」
という声に振り返ったら、吉岡とオサムッチが立っていた。
振り向いたまま反応できなかった私たちに、
「おまえら今日、泊り?」
オサムッチが聞いてきた。
「うん……なんで?」
絢香がこれまで聞いたことがないような可愛い声で返事をして、見たことがないような優しそうな瞳でオサムッチに微笑んでいる。
笑いそうになった。