コクリバ 【完】
「どこに泊まってる?あと部屋番号も…」

オサムッチのその質問に私まで嬉しくなった。
今すぐ絢香に、ウリウリってしたい

「高木先輩に聞いてくるように言われた」

今、なんて言った?

「高木先輩が?」
絢香がさっきとは全然違う声を出す。

私の心臓が、トクトクと鳴り出す。
高木先輩、もしかして私が来てることに気付いてる?

気が付けば絢香と目が合った。
視線を逸らしても、ともちゃんと目が合う。
何か言わなきゃって思うけど、焦れば焦るほど喉がつかえて声が出ない。

「あぁ。緒方なんだ」

ひどく安心した言い方をするオサムッチ。
そんなこと言われたら顔が赤くなるじゃないか。

「梶原かと思った」
「え?」
「あ、いや…高木さんが、梶原を狙っているのかと思ったから」

オサムッチの声が小さくなる。

「ううん。私じゃないと思う」
すぐに絢香が答えた。
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